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MOONLIGHT MILE(9)  月のサスペンス

月でのサスペンスは、緊張感を増しながら続きます。吾郎たちは、テロリスト・カトーにより仕掛けられた時限爆弾と共に、トマト栽培棟に閉じ込められていました。他の隊員はカトーの扇動により暴動状態に陥り、月面基地はまさに大混乱。騒ぎに乗じたカトーは、破壊工作の本当のターゲットへと向かいます。テロリストの真の目的……それは、アメリカが保有する宇宙軍を、公の場に晒すことだったのです。そして、一つの時代が終わり、新たなる戦いの舞台の幕が上がります。空気が存在しない、真空の世界という極限の地で起こる事件は、まるで映画のようなアクションサスペンス。それぞれの守るべきものを背負い、男たちは困難に向かいます。涙なしには読めない、熱い一冊です。
ムーンチャイルド・歩は、謎の組織に人質として囚われてしまいます。組織は、月の地下労働者を開放する目的を持つ「月移民者解放戦線」。彼らは歩を連れ、月面地価の居住区であるファベーラへと向かいます。徹底的に管理され清潔に保たれていた表世界しか見たことのなかった歩ですが、ここで初めて汚れた「裏の世界」を知ることとなりました。進化した遠隔操作型ロボット・ガーディアンに、仮想世界でしか話すことのできなくなったロストマン。そして謎の人物であるレディ・ファントム……物語は近未来から未来世界へ移行しましたが、決して現実離れしたわけでなくそう遠くはない未来の物語として楽しむことができます。SFファンにおすすめです。

2015年11月19日

MOONLIGHT MILE(18)「人類初」のムーンチャイルド

「人類初」のムーンチャイルド。つまり、生まれた瞬間から、人々の注目を集めるということ。歩は世界中から観察される毎日を送っています。そのころ月は、インドとパキスタンによる核戦争の被害を受けていない唯一の「国」として、大量の難民を地球から受け入れていました。宇宙飛行士だけでなく、一般人が住み始めたことにより、基地は大きくなっていきます。歩は地球からやってきた子供たちからいじめを受けることに。でも、月で生まれ育った子供たちにとって、彼は一番のお兄さんで多くの弟や妹に囲まれていました。歩も普通の子供の一人なのですね。しかし、ムーンチャイルド一号として、歩は本格的に政治に利用され始めるのです。そしてついに、「あの人物」が帰ってきます! 新たな展開に次の巻も目が離せません。

2015年10月01日

MOONLIGHT MILE(17)核保有国であるパキスタン

核保有国であるパキスタンの反政府過激派による、人類史上初のスペースジャックが行われる、というところからこの巻は始まります。彼らはインドの衛星・チャンドラヤーンを破壊し、インド・パキスタンの核戦争の火蓋は切って落とされることになりました。2025年になろうと、人間は変わっていなかったのです。数年後の月面都市では、成長した吾郎の息子・歩が地球に想いを馳せていました。ですが、月で生まれ育った彼は、月の6倍の重力である地球では生きることが出来ません。月から出ることの出来ない歩は、どんな風に成長するのか、そして地球へと降りることが出来るのでしょうか。物語のバトンは次の世代へと繋がれました。新しい月面世界の物語の続きが気になって仕方ありません。

2017年02月05日

MOONLIGHT MILE(16)月面にて息子との対面

吾郎は、ついに月面にて息子との対面を果たします。「こんな小さな命が星よりも重く感じるなんて」という吾郎のセリフはなんとも感動的で、彼が本当に父親となったのだという実感を与えてくれます。一方で、ロストマンは命の危機に瀕していました。政敵のゲンズブールの手によって計画された、暗殺計画。事故に見せかけるため、ロストマンが乗った高速艇を裏工作を行った上で爆破したのです。吾郎との対比が、場面の緊張感を盛り立てます。果たして、ロストマンの運命は……? 同じ夢を追った二人の男の物語は最終章へと向かい、そして新たな世代へと受け継がれていきます。10年後の月面。そこに立っているのは少年へと成長した吾郎の息子・歩です。彼は一体、どんな運命を辿るのでしょうか。次の巻が待ち遠しいラストです。

2017年02月05日

Pumpkin Scissors(14)戦車の父コルトゥ博士の語る「カウプラン文明」

今回の見せ場は、なんといっても戦車の父コルトゥ博士の語る「カウプラン文明」だと思います。
論理的な面白さここに極まる!といった感じです。
合同会議が粛々と進められる中、各国の威厳と本心が絶え間なく交差し、その中でカウプランの特許が議題にあげられます。そして、カウプランの技術の成り立ちと弊害が明かされます。
今回戦闘シーンは控えめのため、アリス少尉とオーランド伍長は少なめですが、戦災復興の意義と援助継続の必要性を主張するアリス少尉のスピーチに含まれる「陸情3課は民の道具であっても、民の味方ではない」という揺ぎ無い持論に、彼女の成長が伺えます。
そして、抗帝国軍(アンチアレス)が凶器を帯び蜂起します。怒涛の展開に流れ込む期待感がたまりません。
前巻に引き続き、何が起こるかわからない怖さがひしひしと感じられます。
各人の思いはとめどなく流れ、かくして西方諸国同盟(ネビュロ)合同会議が開催されます。
今回、新キャラクターが多く登場しますが、強烈なキャラクターの女性が目立ちます。
巨大な陰謀がじわじわと迫りくる予感を感じさせる新しい敵組織の登場に、秘密結社「銀の車輪」も暗躍、さらに軍部内の権力闘争に加えカウプラン・・・いくつもの組織が複雑に絡み合った展開になっています。
国家間の闘争をはじめ、国内政治闘争、情報部レベルでの攻防、陸情3課内での問題などなど、話題てんこ盛りの今回、どんどん話が膨らんでいき、どう決着が着いてゆくのか想像がつきません。
いつも大変なオーランド伍長ですが、今回は特に大変なことになってしまっています。

2015年03月01日

Pumpkin Scissors(12)『0番地区編』

主人公たちの決意で締めくくられる『0番地区編』のまとめと、新章西方諸国同盟(ネビュロ)合同会議編の準備の巻です。
今回、アリス少尉とオーランド伍長はほとんど出番がありません。
準備の巻なので、会議に関係する国の人々や、各国の目的など伏線が数多く出てきます。久しぶりにセッティエーム姫が登場します。
多くの技術を生み出し『不可視の9番(インビジブルナイン)』にもかかわったカウプランの技術を巡る各国の攻防、帝国の裏で暗躍する銀の車輪のある計画など、国家レベルの波乱が渦巻いています。
そんな中、オーランド伍長の過去を暴こうと陸情1課の「第二の曲剣(ダブル・ショーテル)」が動きだします。
いったい何が起こるのかハラハラ感がいっぱいです。
この巻には、敬愛すべき姉御、ウェブナー注意のスピンオフ短編が収録されています。こちらもお見逃し無く。

2015年03月10日

Pumpkin Scissors(11) 載したため、絵のタッチ

一度休載したため、絵のタッチが途中でガラリと変わっていますが、物語は相変わらず面白いです。
「0番地区」の抗争の火種として、0番地区派閥ボルモン派の幹部、好色男キャラダインの暗殺が計画されます。キャラダイン暗殺を防ぎ、0番地区抗争を防ぐため、オーランド伍長はじめ陸情3課および彼の家族たちが奔走します。
全巻で戦災復興について思い悩んでしまったアリス少尉でしたが、この巻でついに一つの答えにたどり着きます。
オーランド伍長の昔の家族たちも登場しますが、皆さん良い個性をお持ちです。
特に今回、オーランド伍長の昔の家族の一人アベルは、中途半端なことしかできていないオーランド伍長を諭すなど、その存在感を感じさせます。
そして、今回も物語がクライマックスを迎えたところで、次巻に続きます。

2015年04月07日

Pumpkin Scissors(10)ポップで賑やかな展開

表紙からもうかがえますが、前回までのしんみりとした雰囲気から一転して、ポップで賑やかな展開が繰り広げられています。
今回の舞台は、オーランド伍長の故郷「0番地区」です。オーランド伍長の過去につながるエピソードが語られます。魅力的な新キャラクターもたくさん登場し、今後の新展開に期待が膨らみます。
ストーリーも、帝国の内政事情に掘り下げた内容になり、戦災復興というテーマが深められていきます。
また、前回で吹っ切れたオーランド伍長に対し、アリス少尉が戦災復興にたいして思い悩み始めてしまいます。
帝国は、西方諸国連盟(ネビュロ)合会議が近づく中、自国の体裁を保つため、汚点である「0番地区」の掃討に乗り出します。ついに始まった新章も目の放せない展開が期待できそうです。

2015年05月05日

Pumpkin Scissors(9)

3巻にわたり、二組の少尉と伍長を中心に展開されてきた物語が、ついにフィナーレを迎えました。
国境警備隊の暴虐に耐え続け、最後に殺された区長の志、自分たちを取り戻そうと立ち上がった市民たちなど、主要人物たち以外の表現もドラマチックに描かれています。
通して、人間の弱さを描きながらも甘えないストーリーが好ましく思われます。
また、各キャラクターが今回の凄惨で陰鬱な事件を通してそれぞれが見つけ出した答えには、重みがあり、心打たれるものがありました。
当人にしかわからない、かけがえの無い「絆」や「遺したもの」など、決してハッピーエンドではないものの、穏やかで余韻の残る結末でした。
今回、久々にオーランド伍長が大暴れしています。

2015年04月05日

Pumpkin Scissors(8)孤立した町の秘密と陰謀を探る

孤立した町の秘密と陰謀を探る今回の物語は、二組の少尉と伍長の恋愛物語も絡み、まるで、スパイ映画を見ているような気分になります。
静かに燃える、コールド・ヴィッター少尉が大変よろしいです。
独立国境警備隊が住人を支配している謎、そして街が生きながらえるための秘密が徐々に明らかにされていきます。
すべての原因となった、かつての帝国軍が隠そうとした事実とはなんだったのか・・・。緊張感のある展開が続きます。
この巻は、派手なアクションシーンは無く全体的に地味な印象がありますが、キャラクターの描き方が特にすばらしく、誰もが人間味のある良い顔を見せています。
世界観にどっぷりとつかるためにも、7~9巻は一気に読むことを強く推奨します。

2015年04月23日

Pumpkin Scissors(7)新章スタート

新章スタートです。
小休止を終え、重量級の物語が再開されました。
今まで語られることのなかった陸情2課が登場します。
今回の物語の舞台は、独立辺境警備隊に管理されているとある街です。
6巻のエピソードで陸情3課が入手した手紙が実は極秘任務であったため、手紙を解読してしまった陸情3課は陸情2課に拘束されてしまいます。
解読現場に居なかった、アリス少尉とオーランド伍長が、新キャラクター、陸情2課のコールド・ヴィッター少尉とともに事件の調査に向かいます。
アリス少尉の姉エリスの語る、アリスの生い立ちなど、キャラクター過去を掘り下げる描写も見逃せません。
隣国との関係性、絡み合う謎と揺れ動く人間関係が今後どのような展開を見せるのか、今後の展開が気になります。

2015年02月28日